RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE
OTHERS

08
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
>>
<<
--

英語学習のAaron Teaches ブログ

英語ヒアリング(リスニング)、発音、語彙、英文法、英会話、英作文(英文ライティング)の正しい学習方法を配信します。
<< American Life in Poetry project | main | Sounds of the presidents and more >>
フランス語翻訳のおもしろさ
今日は、フランス語翻訳者の書いたエッセイをご紹介します。フランス語と日本語、この二つの言語の間には、どのような関係が存在するのでしょうか?


 翻訳という作業(ここでは日仏訳、仏日訳を例に考えてみます)は、一般には他の人間がある言語(日本語ないしフランス語)で書いた一定の内容を持つ文章を、その同じ内容のままで他の言語(フランス語ないし日本語)に移し変えることです。フランス語翻訳をこのようなものとしてだけ捉えるならば、それは同じものに違った外形を与えるだけの創造性のないどちらかといえば機械的な営みのように思えるかもしれません。
 もしフランス語と日本語という異なる言語のあいだに、その最も基本的な要素である文字のレベルから一定の思考や感情のまとまりを表す一繋がりの文章のレベルまで、緊密な対応関係が存在していたならば、日仏の二つの言葉で書き表された事柄は、(複雑な多数の数式をもって示されるような)一定の変換方式ないしルールに従って、日本語からフランス語へあるいはその逆方向へ置き換えることが可能かもしれません。そうだとすれば、仏和・和仏の翻訳とは、ルールの入った箱の一方から入れたデータを内部で機械的に処理して他方から取り出すということに帰着します。仏和翻訳と和仏翻訳の違いも入力と出力を単に逆方向にすることに過ぎなくなります。そして、フランス語翻訳者とは、このような日仏両言語とその間の変換ルールの箱を頭の中に納めた人間と捉えられます。
 近年の情報処理技術の発達から生まれた機械翻訳の試みは、人間が行ってきた翻訳がこのような性質の仕事であれば、フランス語の多数の言語要素とその組み合わせのルールを日本語のそれとつき合わせて相互に変換するルールと組み合わせて機械的に処理することが可能ではないか、という考え方に基づくものです。
 日仏両国は地理的に大きく隔たっていますが、住んでいるのは同じ人間でありその人間は居住可能な類似の自然環境の中にいます。このことが両国で使用されるフランス語と日本語という言語のあいだに相互の理解可能性と翻訳可能性を作り出す根源です。しかし人間は身体と環境という自然の中でだけ生きているのではなく、その土台の上にきわめて多様な歴史と文化を展開します。これは言語を持つことと同様に人間固有のことです。衣を纏い食を摂るという、生きていく上でもっとも基本的なことについてさえ、その具体的なあり方には多くの相違が存在します。両国で使用されるフランス語と日本語という二つの言語にはこのような歴史や文化の相違が強く投影されていて、実質的には同じ中身のものに単に異なった外形が与えられているというに留まるものではないのです。
 フランス語を日本語に訳したりまたその反対に和仏訳をしたりするフランス語翻訳作業は、実はこのような文化的な架橋をするということを含むのであって、双方にまたがる複雑な意味理解を前提とする決して機械的ではないむしろ創造的な仕事と言えます。そこにフランス語翻訳のおもしろさと同時に難しさがあります。このように見てくると、なぜ機械翻訳が人間による翻訳に取って代わることができないか、人間による翻訳の仕事のごく一部を効率的に代替するに留まらざるをえないかが、理解されます。


ALS サイトでは、この他にもたくさんのエッセイを掲載しています。画面左の英語翻訳、英文校正、多言語翻訳、校正サービス をクリックしてALSサイトへ是非アクセスしてみてください。そして、メインページの左にあるメニューから翻訳関連エッセイをお選びください。

Hana
ALS
| 多言語翻訳 ・ 校正 | 16:09 | comments(0) | - |